■作品について
アボリジナル・アートとは 〜オーストラリアの大地から生まれたアート〜
地上に現存する中で最も古い伝統を誇る、オーストラリア先住民アボリジニの人々が描く絵画、アボリジナルアートが、今や現代アートの最先端として世界中から注目を集めているのをご存知でしょうか。
1971年に初めてキャンバスと絵の具が彼らに紹介されたのをきっかけに、「アート」として世に登場したアボリジナルアート。しかし、オーストラリアの砂漠で描かれる彼らの絵画は、芸術のための芸術ではありません。
もともと「読む」「書く」といった文字文化を持たなかった無文字社会で暮らすアボリジニの人々にとって、絵を描くことは単なる「伝達手段」の一つであるだけでなく、大地と関わる自分自身の喜びを表現し、そのつながりを確認するための「儀礼」を自ら行う、深遠な行為でもあります。
狩猟採集民として長い移動生活を送ってきたアボリジニの人々が、今、私たちに「大地との大切なコミュニケーションを取る方法」を教えてくれるメッセージ。
それが、大地から生まれたアボリジナルアートです。
■アーティストについて
1945年中央砂漠の ATNANGKEREで生まれ。
オーストラリア政府が定めたユトーピアという居住区へ強制移動させられるまではアボリジニ古来の伝統的な暮らしをずっと続けていたと言われている。
1980年代後半に政府が作者の生まれた故郷であるユトーピアの女性たちに経済的自立とアボリジニのアイデンティティを取り戻すことを理由に、バティック(ろうけつ染め)制作に力を注ぎ、インドネシアに多数その技術を学びに行かせた。その中心的存在であった作者はその中でも一際高い芸術性を持っており、このバティックプロジェクトを大成功に導いた画家の一人である。
1990年海外でのプロモーションが多く行われ、現地へたびたび招聘されるようになり、これまでもアイルランド、ロンドン、シンガポール、NY、インドでそれぞれ個展のために訪問している。
2008年には大阪国立国際美術館で行われた過去最大規模のアボリジニアート展(エミリーウングワレー展)の閉会式にオフィシャルゲストとしても招かれ初来日。メディアからも一際多くの注目を浴びた。







